|
外が暗闇にみちている頃・・「・・丸山」「なんでっしゃろう松本はん?」そこには5つの影があった。二つの影が動いたと思ったら、続けざまに三つ四つと影が動き出し、そして言った。「これからの作戦だが、まず隣国の王をつぶしにかかろうと思う。どうだ?」「そんなもん松本はんが良ければよろしいんちゃいますか?」「左に同じだ」「私もよ・・・清十郎のことだもの・何か策があるのじゃなくて?私は賛成よ」鈍い男の声、なまりのある男の声、低い男の声そして女の声と順に喋った。少し間が空き、口を開かなかった一つの影が動き重い口調で話した。「本当にみなさんはこれが正しいと思っているのですか?・・・僕は・・僕はこれは正しくな・・」青年の声が止まった。外の空が明るくなってきた。日が昇りだしたのだろう、小鳥がチュンチュンっと鳴きだした。すると今まで影でしか認識できなかった姿があらわになった。その影たちがいたのはひっそりとした小部屋だった。どこかの建物の一室だろう。青年の声がした場所から数メートル離れた場所に男が座っている。目は青年を見つめ、とても人間の目ではなかった。瞳は赤く、例えるならば鬼だ。「綾里!・・前も言ったが俺たちの行う行動は、すべて今後のこの国の将来をみすえてのものだ。異論は却下だ。」青年の言葉を力強い声でねじ伏せながら言い続ける。「綾里・・・反論するならするがいい。しかしお前一人では何もできないと思え、お前は俺の手と足となるんだ。」そう言うと続けざまに女の声が入ってきた。「綾里・・あんた私の清十郎に反発するなんていい度胸じゃないかい!!あんたが清十郎の右手じゃなかったら、喉かっ切ってるとこだよ!」「まあ落ち着けよ舞桜(まいざくら)」興奮した女を、鬼の目の男がなだめながらつぶやいた「綾里のほかに異論は?」数秒あき「異議なし」一人を除きみな答えた。そのすぐ直後―――ばたんっといきおいよくドアが開き、皆そちらのほうを向いた。そこにいたのは、背中に大きな木でできたカバンを背負ったよぼよぼの老人が立っていた。「松本様!」鬼の目の男は冷静になんだと聞き返した。「っふぉっふぉっふぉ!松本様!ついに来ましたよ!シーク・スペンサーが!」「誰だそいつは?」「っふぉっふぉ旅人ですよ!しかも松本様の探しておらした凄腕の旅人!」それを聞いた鬼の目の男は右手でパンっと太ももを一回叩きそして・・「はっはっは!でかしたぞ松林(まつばやし)!これで駒がそろった!」そう言われた老人はありがたきお言葉っとだけ言い、瞬きした瞬間消えた。「よし!丸山!綾里!」「はい」「お前ら二人でシークとやらを迎えに行け!」威勢良く鬼の目の男は言い放ち、なまった声の男と青年ははいっと言って消えた。――――「しかしなんであんたは旅人なんか使うんだい?私たちだけで十分じゃないかい。」「舞桜・・・わからねーだろうなあ・・駒を使い、駒が泣き叫びながら壊れていく姿を見る快感は・・・」少し呆れた感じで女があとに続き喋る。「そういえば今日入国してきたのは二人じゃなかったの?シークって奴ともう一人・・・」「ん?松林はシークの他に何も言っていなかったぞ。っふまあ大したレベルでもないだろ。」「そうだといいんだけどねえ」女は心配そうに鬼の目の男を見つめて小さく言った。――――――――――
※ ※ ※ 「シークはん!あんさんいい加減にしてくれまへんかいなぁ〜・・。素直に縦に首を振るだけで、痛い思いをしなくてすむのになあ〜」一つの大きい声が部屋に響いた。その部屋は石が積み重なってできており、さまざまな拷問器具がおいてある。剣山の座布団のようなもの、天井から垂れ下がって逆さ釣りにできるロープ、鉄の棘が飛び出ている鞭、かなり多い。そんな部屋にいる人間が二人。一人はなまった声のボサボサした銀髪の男、もう一人は茶髪で少し背が低い少年。茶髪の少年は上半身裸で、壁に手と足が鎖で縛られている。明らかに拷問されているようだ。茶髪の少年の体には痛々しい生傷が無数にあり、血が流れ出ている。銀髪の男はそんなことお構いなしと言わんばかりに、少年の傷めがけて笑いながら鞭で叩く。「早く言わんかい!」銀髪の男の声と共に鞭がパンっと少年の体に当たり、茶髪の少年は痛みに耐えながら下唇を噛む。「っぐ・・」「あんさんは本当にしぶといなあ〜」っパンっパン。。。同じようなシーンが数分続く。部屋の片隅にあるドア付近の木でできた机の上に、茶髪の少年のものだろうか。隅にリュークと彫られたリヴォルバー式の銃が一丁置いてある。弾は一発も装填されてなく、あたりには空の弾が六つ・・部屋には石の壁が砕け散った箇所が六つある。茶髪の少年は銃で抵抗しようとしたが、捕まったのだろう。「シークはん?このままだとあんさん死んでまうで?わいたちに協力してくれまへんかいなあ〜。まぁこれで終わりや!」そう言って銀髪の男が棘の鞭を大きく振りかぶった瞬間、今まで口を開かなかった茶髪の少年が反発した目をしながら言った。「も・・・もし今・・僕が死んだとしても・・僕の意思を継ぐ奴が・・きっと現れる・・そして・・きっと・・全てが変わる」「っふ!何を言うかと思ったら・・っはっははっは!いい度胸してるやないか!まあいいわ!今回はこれまでにしてやるわ!綾里!」銀髪の男が綾里っと言ったあと、はいっと青年の声が返ってきた。「シークはんを牢屋にぶちこんどきぃ」「はい、わかりました」そう言い、銀髪の男は部屋を出て行った。―――――――
※ ※ ※ 「松本はん?」「なんだ・・」「あんな奴下の下やで。奉行所に来いって行ったら簡単について来てまうし。」「・・・結局シークはうなずいたか?」「いいやあーまったくやわ〜」「そうか、まあじき嫌でも承諾するさ・・・仲間に危険が迫ったら・・・・っはっはっはっはは!」
 |